ルース・ベネディクト「菊と刀」

菊と刀 (講談社学術文庫)

菊と刀 (講談社学術文庫)

日本人に対する研究の名著。
太平洋戦争中、アメリカが占領政策を決定する際に日本人の心や文化を研究したことを元に書かれています。
非常にフラットな目線で書かれており、一昔前に書かれたといえ
最近のネットでの炎上騒ぎや政治家への非難感情や反原発運動など、この書を鑑みれば腑に落ちることも多い。
たまに明らかに勘違いした諺や日本文化が出てくるのはご愛嬌。ニンジャスレイヤーめいた笑いも少しはある。


日本人が上は天皇や社長、下は貧民まで「それぞれの立場にふさわしい行動を取る」ことを求めており、
例えば社長に礼儀がなかったり、貧民が生活保護で遊んでたりすると「ふさわしくない」と非難される、という意見には納得。
またヨーロッパは罪の文化であり、罪の告白により罪悪感は軽減されるが、
日本は恥の文化であるため、罪の告白を行うとより一層の罪悪感の増強がなされる、という論にも腑に落ちることしきり。


日本人の思想は「それぞれの立場にふさわしい行動を」という単一のものであり、
ウヨクやサヨクなどはその表れの一つに過ぎず、すなわち日本人にとって主義の転向など取るに足らないことなのだと思った。