月村了衛「機龍警察 自爆条項」 

近未来SF警察小説、機龍警察のシリーズ第2段。
今作では元テロリストから特捜部の突入要員になったアイルランド人女性のライザ・ラードナーに焦点が当たる。
横浜港での兵器密輸入に関連する大量殺戮事件を発端にアイルランドのテロ組織が日本でテロを起こす予兆がほのめかされる。
しかし特捜部には外務省からの圧力と思われる捜査停止命令が。
さらに中国系犯罪組織の加担や経産省まで絡み、その中で特捜部の沖津部長は何を決断するのか。


相変わらずテッパンで面白いです。
外務省や公安の圧力の元で飄々と抜け道を使って特捜部を動かしていく沖津部長の狡猾さ、ね。
元テロリストということ以外全てが謎に包まれていたライザの過去が明らかに。
アイルランドの闘争と暴力の歴史に祖父の時代から呪われ続けるライザ。
祖国を想う気持ちは容易に闘争を加速させる力となってしまう。
言葉少なながら技術班の鈴石緑とライザが和解していく様は福音となりうる。