円城塔「オブ・ザ・ベースボール」

オブ・ザ・ベースボール (文春文庫)

オブ・ザ・ベースボール (文春文庫)


年に一度空から人が降ってくる小さな町ファウルズ。
なぜかその対策として9人のメンバーとバットが支給される。
毎日空を見上げるだけのレスキュー・チーム。
どこか朴訥とした不条理劇。コントのようでもある。


ちなみにタイトルは「ベースボールについて」という意味だそうです。


もう一つ収録されている短編は「つぎの著者につづく
自分の作品が知りもしない著者のパクリだと指摘された作家。
どうせなら、と知りもしない作品と同じ文章を生み出してやろう、という作品。
言葉は限られており、人類が多くの文章を生み出す中で似たものは出てくる。
オリジナリティとは、類似性とは、それらに意味はあるのか。
タイプライターを叩くサルがシェイクスピアを書いてしまう可能性は。


読者は答えのない堂々めぐりに付き合わされるはめになる。