第5回対談ブログ"しゃべろぐ"「エロマンガを読もう!」(後編)

それでは中編の続きです!
前編や中編読んでない人はこちらから。


第5回対談ブログ"しゃべろぐ"「エロマンガを読もう!」(前編)
http://d.hatena.ne.jp/sumeshi30/20111006/1317925952
第5回対談ブログ"しゃべろぐ"「エロマンガを読もう!」(中編)
http://d.hatena.ne.jp/sumeshi30/20111017/1318872800


BLUE HEAVENとエヴァンゲリオンの関係の話から再開ですー♪
エロ画像があるから閲覧注意な。




BLUE HEAVENは1997年に刊行されたショタエロマンガ
主人公サトル(もともと女装癖あり)は、姉からの性的虐待を通してセックス中毒になってしまい、
伝言ダイヤルなどで知り合った男達に毎日犯され続けていた。
その後姉が死に、整形外科の女医に引き取られるんだけど、この女医に毎日毎日いじられた上に、
女体化改造したショタっこを紹介されて激しいプレイの日々。
そしてそんな日々の中でサトルは自分の本当の願望に気づく…。

ところで樺太さんはなぜブルーヘブンを扱うことにしたんですか?
うん、一応ブルーヘブンの話ししますよ。
ブルーヘブンを選んだのは、せっかく世代の違う人と話すのだから時代性が強く匂う作品が良い!と思った。
確かに時代を感じる。
以前お渡しした資料。1997年に、「ゴクウ」「コミックゴン」という二つの雑誌に掲載された、エロ漫画界を概観するような特集記事。
双方で共通して取り上げているのが「ショタブーム」と「エヴァの影響」なので、じゃあ「裏エヴァ」と呼ばれるこの作品を持ってくるしかないだろうと。
あの時代の匂いが染みついているだろうと。




左:GOKUHの美少女エッチ漫画特集表紙 右:コミック・ゴンのエロ漫画特集表紙 (詳しい解説はこちら

1997年。
あの雑誌によるとショタってのは「かわいい男」という自分と「かわいい存在を犯したい自分」による究極のオナニーだっていう説でしたね。
コミックゴン1号の方ですね。私もその説にはだいたい同意してます。
そこらへんで言うと俺が妹側に感情移入してるのと似てるんでは?と思うんですが。
確かにそうです。私は上総志摩あたりの影響が大きい所為か、
「バイブ入れて拘束放置された」状態になりたいっつーかマグロ願望?な感じなので 愛撫の繊細さを求めるとかは無縁ちうか。
なかなかハードですな……
いや実際にそうされたいわけじゃなくてエロ漫画の女性に感情移入先を求めるならそうなるというこだからほら
だいじょーぶ!わかってますって!
まあ話をブルーヘブンに戻すと。「虐げられることで愛を求める受け身のボク」を1巻で堪能させた後、
2巻では「ボク」の愛を求める生き方に疑義を唱えるアスカ的な人物が現れ、
最終回間近ではエヴァ最終回みたいな「精神世界で他の人物から糾弾される回」まで用意している。
これは「コミックゴン」が「裏エヴァンゲリオン」と呼んだのにも納得いくわけですよ


サトルは必死なまでに愛を求め……

セックス奴隷になるため肉体改造することを受け入れる。

しかしその歪んだ自己愛を批判される。

確かにそういうとこ似てますね。
かわいい男の子が「セックスをするだけの奴隷になりたい」とか……
「あなたは自分を好きな人が好きなだけなのよ」という台詞、シンプルに主人公の本質を衝いていて感心したわけです。
これが作者のエヴァ観なのかは知らないけれど。
この作品には前日譚があるみたいですね。
ええ、これ「もう誰も愛せない」の続編で。元々サトルに薬品を投与して身体を女性的にする(男性器は維持)する実験があったはず。
考えてみたら「もう誰も愛せない」ってタイトル自体ブルーヘブンの結論みたいなもんですね。自己愛だけでは人を愛せないと。
「もう誰も~」自体は主人公の性欲に肯定的に終わるのだけど。
ショタものという、セックスを扱っても結局自分が気持ちよくなるだけのオナニーにしかならないジャンルを使ってそれを批判するとか高度ですねー。
結局あの主人公くんは誰ともつながってないって結論になっちゃいますもんね。
あんまりジャンル批判的に読んだことはないですね。
ストーリーを語る方に走ってしまいましたが、「陰茎肥大化の果てに車椅子生活」みたいな身体改造表現が漫画として面白いということも一応言っておきますです


自分で歩けなくなってしまう程に肉体改造をしたミオ(元男)

うん!ちんこでかくなりすぎ!ちんこinちんこはすごかったなーw
正直どう見ても女の子の顔と体型にでかちんがついてるのは性欲をどこに向ければいいかわからなくなったw
最後に姉を殺したことが判明しますが、あれはセックスという自分を認めてくれる手段を奪われると思ったから?
突き詰めて言えばそうですが、関係のあった男の子・女の子と引き離されるのが辛いというのも嘘ではないと思ってます。
流される主人公が批判されるべきだとしても、自己意思で身体改造エスカレートさせたミオだって幸せになれるはずがなく。
端からみんな詰んでる、破滅を愛でるような話でもあります。
サトルは途中行きずりのセックスにふけるようになるしセックスするなら誰でも良かったんじゃないでしょーか。
サトミがセックスの相手は誰でもいい状態なのに陥ってるのは確かですが、
過去に姉を殺したのがどこまで自覚的な行動なのかは疑問があると思ったわけです。
「一人になりたくない」と性欲が未分化であったのではと。
必死に人とつながっていたかったサトミが最後に実は全然人とつながってなどいなかった、自分が愛されたいだけだったと看破される、と。
そして愛されるために肉体改造して女の子みたいになって幸せになる、と。
ええ、そういう結論だと思います。
「すでに女の子になったからこう生きるしかない」って視野狭窄自己欺瞞が起きてるのが不憫でもありますが。
でもあくまで性転換はせずに、むしろちんこはでっかくなっていくばかりなんですよねー。
そういうところがあくまでかわいいものになりたい男が感情移入するものって感じです。
ブルーヘブン読んでニューハーフ誌の編集にまでなった人がいるんですけど、
この記事を読む限り「シーメールに完全な性転換されるとがっかり」みたいな意識持ってる人もいるみたいで。


『オトコノコ倶楽部』創刊から1年、新創刊されるニューハーフ専門誌の狙い 発売直前! 『nh』編集長・井戸隆明インタビュー(リンク先R-18注意)
http://sniper.jp/008sniper/0083interview/1_nh.php

シーメール……。シーメールって一応男ですよね?
そうです。身体を女性的に改造する人はいるけれど。
「かわいいものになりたい男が感情移入するもの」に異論はないですが、作者のシーメールへの拘りという要素が強いかなと思います。
うーん、シーメールになりたいとか全然思わないからよくわからん。
私もシーメール願望はないですよ、と。
TSFの話に繋げようかとか最初は思ってたんだけど、
エヴァブームを体験した世代、ハードな身体改造好き、破滅志向のショタ凌辱物が好きな人に読んでほしいです、という結論で良いですか?
まー結論っつーか、それはむしろ導入な気がします。
それより深い世界があるよ!ってことにしときましょうw
正直言うと自分は抜けないっすね。ただ単に絵柄の問題で。あと、普通に女の子がいいなーって思ってしまうw
絵柄の問題ねー。あのですね、昨日話したJコミプレミアムのこと。
絶版したエロ漫画・BL・条件が合えばエロ同人まで公開するという。


有料制「Jコミ・プレミアム」のβテストを、10月1日から開始!
http://d.hatena.ne.jp/KenAkamatsu/20110915/p1

あ、Jコミ!あれすごいですよね!あの序文にグッときましたね!

成人向けのエロマンガや、BL(ボーイズラブ)などを避けて通っているようでは、「マンガ文化の保存」とか言う資格はありません。
やはり、絶版になった成人向けマンガやBLも、正しく保存し、鑑賞できるようにならなければ!

凄く興味は惹かれるけれど、
絵柄が古けりゃ世代外の人には実用性が下がるのも確かで、
さてどんな作品を提出するのかなって。
別にエロ目的ならいくらでもあるわけで、
別にそこは実用性はあんまり気にしなくていいんじゃないかな。
普通にブルーヘブンもマンガとして面白かったですし。
そういってもらえると救われる気持ちです。
私はエロマンガをエロという理由で敬遠しているのはジツにもったいないと思っているのであります!
具体的にJコミプレミアムで読みたい作品あります?
私はコミックゴンで紹介されてた猫玄「ネガティブラヴァーズ」が気になる。
普通に買えないんですか?
95年の本だよー。中古ならありそうだけどね。Jコミなら作者への還元もあるわけで。
そういうのが読めるようになるといいですね。
そうですね。本当にグダグダになりましたがここで一応〆ますか。
ちなみにTSF物語は性転換の果てに「ビッチになって妊婦売春する!」て地点まで飛躍するすげえ漫画だから読もうぜ、
と強引に捻じ込んでおく!
はいw入れときますwありがとうございました!また今度!
ありがとう、また今度!オタッシャデー!
オタッシャデー!


前編中編後編とブログ3記事に渡る長ーい記事になってしまったのは自分でも意外でしたがいかがだったでしょうか。
ジャンルも幅広く、読み方も一様ではないエロマンガの世界の一端でも紹介できていたら幸いです。


これからも当ブログではしゃべろぐの対談相手を募集しております。
現在募集中のネタとしてはドロヘドロピングドラムアイドルマスタードリフターズ等々。
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それではまた。


過去しゃべろぐ記事
第1回対談ブログ"しゃべろぐ"「あの花」についておもいっきり語ろうぜ!
http://d.hatena.ne.jp/sumeshi30/20110703/1309674690
第2回対談ブログ"しゃべろぐ"シュタインズ・ゲートについて語ろうぜ!(前編)
http://d.hatena.ne.jp/sumeshi30/20110712/1310426001
第2回対談ブログ"しゃべろぐ"「シュタインズ・ゲートについて語ろうぜ!」(後編)
http://d.hatena.ne.jp/sumeshi30/20110718/1310940281
対談ブログ"しゃべろぐ"第3回「あの花語り その2」(前編)
http://d.hatena.ne.jp/sumeshi30/20110724/1311480334
対談ブログ"しゃべろぐ"第3回「あの花語り その2」(後編)
http://d.hatena.ne.jp/sumeshi30/20110731/1312077321
第4回対談ブログ"しゃべろぐ" 「魔法少女まどか☆マギカ」について語ろうぜ!
http://d.hatena.ne.jp/sumeshi30/20110814/1313346335