緻密に練られたSF設定と百合恋愛要素が良い感じです。 阿仁谷ユイジ「テンペスト」1巻

テンペスト(1) (KCx)

テンペスト(1) (KCx)

もし世界から男が絶滅したら人はどうなるのか?
そんな想像を極端まで突き詰めた百合SFマンガが今回レビューする「テンペスト」です。


西暦2012年にY染色体が消滅して男がいなくなってしまった世界。
時は過ぎ、西暦3992年、女だけの社会が当たり前となったところにたった一人生まれてきた「男」が
主人公の安斎・Y・姫です。
しかしその世界にとって男は異物でしかありません。
姫は想い人である伊集院・R・皇に自分が男であることを告白しますが、
皇は男そのものへの嫌悪感から姫を拒否してしまいます。


姫は拒否されたショックから男であることを隠し続けることになりますが、
その想いは忘れられず、なるべく皇の近くにいることを望んで同じ場所で働くようになります。
一方、皇は姫のトラウマから再び恋愛へ踏み切ることができず、
研究一筋の人生を送るうちに一流の遺伝学研究者となります。


しかし、遺伝学研究者となった皇が知ることとなる重大な事実は
「人類は男を再び作らないと滅亡する」という男を毛嫌いする皇にとっては非常にショッキングなものでした。


と、まあけっこうシリアスな話なんですが、
基本ストーリーラインとしては恋愛少女マンガテイストでつづられるのでそんなに重くもなりません。
なにより男なのに姫が女の子として生きてしまえるのはその愛らしい容姿!
この作品の中で誰が一番かわいいかと言われたら姫だと断言できます!


そして皇は戦争を生み出した醜い存在として男を嫌悪していますが、
また別のキャラは女性が男性を利用しただけ、と言います。
このへんの戦争と男の扱いも今後気になるところ。


かなり緻密に練られた女性社会のSF設定と、
女の子同士の百合恋愛要素が絡みあうこの作品、オススメです。


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「ハーモニー」 伊藤計劃
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