王としての格を揺さぶられるセイバー 「Fate/Zero 3王たちの狂宴」 (ネタバレ)

Fate/Zero(3) 王たちの狂宴 (星海社文庫)

Fate/Zero(3) 王たちの狂宴 (星海社文庫)

Fate/Zero原作読んでますー。
ネタバレなので収納。


文庫版3巻ではますます本格的になる戦いの中で切嗣とセイバーの確執がさらにあらわになり、
セイバーの王としての格が揺さぶられることになる。
虚淵玄お得意の銃器の描写がとても良いです。
各キャラの信念が表に出てきてどんどん魅力的になっていきますね。
以下、内容へ。


切嗣は多くのものを確実に救うためには少数を殺すのをためらわない。
そしてそれを確実にするため、騙し討ちも厭わない。
セイバーは騎士としての誇りのため、騙し討ちはとてもできない。
敵がそんな手段に訴えた程度で自分が負けるようでは騎士道そのものの敗北と考える。


そして手段を選ばない切嗣は魔術師最強と名高いケイネスを確実に狩り取るが、
騎士道にこだわるセイバーは外道の殺人鬼キャスターを逃す。
ここに明暗がはっきりする。


そしてライダーのはからいで聖杯を得る王としての資格を酒を酌み交わし
語ることで決着を付ける"聖杯問答"が開かれる。
ライダーさん相変わらずのんびりしてて和むが、
これもサーヴァント達にとっては真剣勝負。
なにせここで負けてしまえば今までの王としての生き方を否定されてしまうのだから。


ギルガメッシュ王はさすがの風格、この世の民は全て王に奉仕するべき、とうそぶく。
そしてもちろん宝もそれに漏れずと聖杯の所有権を主張する。
イスカンダル王は征服王としての本分は奪い、侵すことだとし、聖杯も世界も奪ってこそだ、と論じる。
ギルガメッシュに聖杯の元の所有権があるなら奪うのみ、と。


一方、アーサー王は民のために王は奉仕すべきだ、支配し奪うなど暴君に過ぎないと説く。
そして自分のせいで失ってしまったブリテンを救いたいと。
しかしその「正しさ」はイスカンダルに否定される。


「正しく」「救った」その後の民が果たして幸せになったか?と。
自分が正しくありたいためがだけの自己満足に民を付き合わせているだけではないか?と。


その後のライダーが発動する宝具『王の軍勢(アイオニオン・ヘイタイロイ)』は
臣下との絆を象徴する宝具。
王として正しくあろうとした結果、臣下に裏切られたアーサー王の末路を否定するような。
アーサー王、セイバーは騎士王としての品格をひどく揺さぶられることとなる。


全く性格の違う者どうしが出会い、内省するシーンがいいね!
次巻もレビューしていきます!