管啓次郎「狼が連れだって走る月」

狼が連れだって走る月 (河出文庫)

狼が連れだって走る月 (河出文庫)


US南部を主に訪れたことを書く旅行記
エキゾチシズムの衝動を詩的に描く。
確かにその大地と「土地の人」の描写は美しい。


しかし、何かとその旅先をほめるために文明化されたツーリズムと資本主義をこき下ろすのは納得がいかない。
著者自身、そんなに旅に出られることを発達した交通のおかげだと認めているのに。
雑誌の表紙にあるようなキレイな光景を見て写真に納めるためだけの「商業的ツーリズム」と著者の
「土地の人」信仰はそれほど距離のないものではないか。
上記の違和感が鼻につき旅先の美しい描写にのめり込めなかった。