「ハーモニー」 伊藤計劃

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)


前作「虐殺器官」で幸福の配分の臨界点に達した著者が、
幸福の飽和の臨界点に挑んだ作品。


過度な医療社会という現実離れしたSF設定ながら、
緻密な世界観、人間性に立脚した社会システムの描写は
現代からの飛躍を全く感じさせない。


病気のない世界で自殺を試みる三人の少女、
そしてその事例から導きだされた「人類の究極の調和(ハーモニー)」とは。
人間が自我を持つ意味を問われる。