女子力があってもなくても悩みは尽きない。 ヤマシタトモコ「HER」

HER(Feelコミックス)

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このマンガがすごい2011の1位にみごと輝いたヤマシタトモコの作品「HER」読んでみました。
1話完結型でリレー方式のオンナたちの一人語り。
今も昔も老いも若きもオンナの悩み事といえば恋愛なんですが、
この作品では男がどうのって言うより


「あんな男選んじゃうあの女ってどうなの?」
「周りの女よりこんなにオシャレしてるのに男に選ばれない」
「あんな風に男と接することができるあの女うらやましい」


とオンナ同士の視点に主眼を置いてます。
基本的に女子力低めなオンナが多いので俺は割と好きでした。
特に面白かったのはCASE. 5のゆるふわガール花河さんの話。
花河さんが仕事バリバリのキャリア女子、本美さんに嫉妬するんですが、
まー、両方ともかわいいんだわ。


花河さんはいわゆるネットでバカにされるタイプの典型的な高女子力。
メールはかわいく、メイクはスキを見せず、オジサンには可愛がられ、高収入男子を彼氏にする。
そんな完璧超人のような彼女ですが、内面の悩みは人一倍。
そしてゆるふわガールの悩みを具現化するように現れるのがキャリア女子本美さん。
本美さんから見たら花河さんみたいなかわいさを凝縮した女子は「いーじゃん、かわいくて」と無邪気にほめる対象なんですが、
花河さんから見たら本美さんは全てを持っている存在。
親が金持ちで、高学歴で、仕事ができて、性格が良くて、「女子」にとらわれていない。
最終的に花河さんの勝手な嫉妬が積もり積もって二人は決別してしまうんですが、
二人とも相手がうらやましくて好きなのは一緒なんですよ。
「オンナ」という観念に対するしがらみさえなければ、二人が仲良く百合百合する未来があったのかもな、なんて想像してしまいます。
腹黒ゆるふわガール、いいよね。


女性向けマンガでは男は「女を弄ぶ超越者」か「判断力のない愚か者」のどっちかに過剰に演出されるんですが、
ここでは「女も男も違うところがバカだよね」ってことで割とフラットなのが良い感じだと思います。
個人的にはCASE. 6のサバサバ毒舌サブカル女子が一番好きですね!!
つーかこのマンガに出てくる女の子全員一筋縄ではいかないかわいさがあるぞ!!


こちらのレビューも面白かったので参考に。


女はみな、かわいげな獣:ヤマシタトモコ「HER」
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