メンヘラとメンヘラの傷の舐め合い 泉和良「エレGY」

エレGY (星海社文庫)

滝本竜彦や乙一が勧めているというのでエレGYを読んでみたけど、
つまらなかった。本当につまらなかった。
元来なら自分は面白い本についてだけ語りたい性分なのだけど、
最近更新も少ないしせっかくなので書いてみますわ。

一言で言うとメンヘラとメンヘラの傷の舐め合い、それに尽きます。
さえない半無職のゲームクリエイター、泉和良がファンの女子高生と出会って好きになって付き合う。
もうね、それだけでなんのひねりもないんですよ。
お気付きの通り、主人公と作者は同じ名前。同一化してるみたいなんです。
要するに作者がこーいうことをしたいって願望がありありと見えて辛い。

こーいう願望を作品にするってのはそれこそ滝本竜彦が得意とする分野で
いくつものセカイ系(ここではメンヘラな男が自分より弱いメンヘラな女の子に恋する話のことを言います)作品が生まれてきたわけです。
例えばネガティブハッピーチェーンソーエッジとかNHKにようこそとか
それらの過去作品に比べるとどうにもひねりがなくて魅力が弱い。
なんで滝本がこれをほめてるのか理解できない。

一つこの作品が滝本より「進んだ」と言うなら欲望の発露が素直になったことかな。
作者が主人公なところとか特に最近の2ch体験記スレまとめみたいな印象を受けます。
これ読むならゲーセンの女の子の話とか豪雪で童貞喪失した話とか読んでた方が面白いと思うよ。
ふーむ、今ではこれが一般受けするんだろうか。

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