テレビタレント三島由紀夫によるウィットに富んだ人生訓。 三島由紀夫「不道徳教育講座」

不道徳教育講座 (角川文庫)

不道徳教育講座 (角川文庫)

三島由紀夫といえば文学界の大御所ですが、
生前はかなりおちゃらけたタレント活動もしていたらしく、
そのノリで書かれた本書。
独特のウィットによって悪徳と美徳を反転させる手腕は見事。
今言うと男女差別と取られそうな発言がびっしりだが、
その分本質を突いており、現代においても身にしみる教訓が詰め込まれております。
下にその一例を。

「人に迷惑をかけて死ぬべし」
(前略)自分の死を最高の自己弁護の楯に使って、他人に迷惑をかけて死んでやれと思い出すと、
自殺というものはもともと一種の自己目的の筈(はず)ですから、自殺の意義がだんだんうすれて来て、
それが途方もない大きな対社会的行為になって来て、考えるだけでオックウになってしまう。
(中略)
だから、どうせ死ぬことを考えるなら威勢のいい死に方を考えなさい。できるだけ人に迷惑をかけて派手にやるつもりになりなさい。
これが私の自殺防止法であります。