伊藤計劃「メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット」

伊藤計劃虐殺器官に続く2作目にして、メタルギア4原作に真摯なノベライズ作品。
自分の人生にケリをつけようとする「伝説の兵士」ソリッド・スネークを親友オタコンの視点から描く。
「人が死ぬまでに対峙しなければならない運命とは何か」
「語り継がれるべきことは何か、断絶すべきことは何か」
死の際にいた作家・伊藤計劃だからこそ書けた血肉から湧き出るテーマなのだと感じる。


また「らりるれろ」ならぬ「愛国者達」への態度と解決も興味深い。
人の欲望や志向を利用して思うように動かし、戦争経済の発展へとつなげる意志なき思考存在「愛国者達」。
もしそれが人類の発展に向けられていたシステムなら私は否定することができないように思う。
世界にはもう英雄は必要ないし、英雄を必要としてはならないのだ。