マックス・バリー「機械男」

機械男

機械男


自身をサイボーグ化していく現代ギークSFです。
ベター・フューチャー社で働く技術者チャールズ・ニューマン博士は事故で片足を失ったことをきっかけに
自ら動く高性能義足「美脚」を開発します。またそんな発想を認めてくれる義肢装具師のローラ・シャンクスに恋をするが、
会社の事情で引き離され、彼女に会うために「美脚」を使おうとするが……


「美脚」がすごいですね。車と同じくらいのスピードで走り、鉄のドアは蹴破れる。高いところから落ちてもショック吸収してくれる。
神経インターフェイスってのがイケてます。
少し残念なのが「美脚」の描写が不十分で具体的なかたちを想像できなかったこと。
(ぼくの想像力が低いせいかもしれませんが)
映画化されるらしいので「美脚」の映像化はとても楽しみです。


チャールズがよく混乱して短絡的な行動に走るんですが、
それも性格や狂気によるものじゃなくて、脳内物質の分泌によるものとしてるのが理系っぽい。
さすがギーク小説。罪悪感すらも脳内物質の投与で緩和されます。


オチは脳まで全部機械化されてしまうんですが、これをハッピーエンドとみるかバッドエンドと見るかは人次第。
全てが機械化されたチャールズを見ていると、車いすや義足のような肉体代替パーツでなくても、
例えばスマホもすでに身体の一部と考えていいように思います。