今日マチ子「アノネ、」

アノネ、(上)

アノネ、(上)

アンネとヒトラーが夢のなかで恋をしたら、というありえない想像を持ち込んだ戦争ファンタジー
民族迫害から逃れるために隠れていたが発見され、収容所に連行される「花子」。
画家志望だったが夢叶わず、後々世界一有名な独裁者となる青年「太郎」。
そんな二人の恋がもちろんハッピーエンドで終わることなんてない。
花子の方が異常環境においても無駄に明るいネジの外れた子のように描写されており、
太郎は父親に画家の夢を否定され、抑圧された繊細な青年として描かれている。



花子が収容所に連行されてからの生活描写は
今日マチ子のやわらかいタッチの絵でも相当に見るにたえない。
ただただ悲しい。
戦争がなければいい、ホロコーストなんてあってはならないという願いを比類なき想像力で描く。