輪るピングドラムのストーリーを解体してみる
- アーティスト: トリプルH
- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 2011/12/21
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この記事自体で何か言うつもりはなくて、ここで整理したことを元にもう1回見て、考えてみようやって感じで。
ピングドラムは複数のストーリーラインが縦に横に少しずつ絡みあう複雑な構造をしています。
そのため初見ではどれがメインかわかり辛く、またそれぞれ分断されているために総体が見えにくくなっています。
本記事ではそれを項目ごとにバラして晒してみようかと思います。
まず5つ走ってるストーリーの関係は以下のようになりますね。
1.桃果と眞悧のテロをめぐる戦い | 2.ゆりと多葺が失われた桃果を取り戻す話 | |
4.冠葉が陽鞠を救う話 | 3.日記を受け取った苹果の晶馬への恋 | 5.真砂子がマリオと冠葉を助ける話 |
一応上の表では一番上部でコアなのが1、1のサイドストーリーが2、
1のすぐ下部構造ストーリーが3、そして1の下部構造であるサイドストーリーが4,5ということを表してます。
1.桃果と眞悧(サネトシ)のテロをめぐる戦い
最後の最後まで見えなかったけどこれが実は一番上部構造のストーリーだったね!
サネトシがピングフォースを使って人間の「はこ」を破壊しようとする。
(これは爆弾テロというかたちで描写されていました)
そしてその爆弾テロを桃果が運命乗り換えという魔法で阻止する。
ここまでが過去の出来事。
サネトシは黒ウサギ二匹に分かれて死に、呪いそのものの存在となります。
一方桃果はペンギン帽子二つに分かれて死に、陽鞠とマリオに取り憑くことに。
サネトシはもう一度冠葉を操ってテロを起こそうとしますが、
桃果が陽鞠とマリオを操って、日記を苹果に託して止める。
これが一番上部構造のストーリーでしたね。
そう考えると晶馬くんの煩悶も苹果ちゃんの恋も
冠葉くんの愛も陽鞠の献身もぜーんぶ二人に踊らされてただけみたいなっ!みたいなっ!
そう思っちゃうんですけど大丈夫ですかね?!(笑)
2.ゆりと多葺が失われた桃果を取り戻す話
1のテロ事件により桃果は死んでしまいますが、
彼女の死を非常に受け入れがたく思っている二人が時籠ゆりと多葺桂樹です。
桃果により幼少期のアイデンティティを救済された彼らは桃果の死に対して
人生の意義を奪われたように思っており、それぞれのアプローチで桃果を取り戻そうとします。
ゆりは日記を手に入れ運命を書き換えようとし、
桃果の代替として苹果を性的に自分のものにしようとします。
一方多葺はテロを起こした高倉家への復讐というかたちで桃果に報いようとします。
結局は二人ともアプローチが間違っていることに気付き、
苹果と晶馬に自分たちの想いを託す。
これがゆりと多葺のストーリーラインですね。
教祖を失った信者がどう生きるべきか、という話しをあえてオウム真理教…じゃなくてピングフォース被害者側で描いています。
3.日記を受け取った苹果の晶馬への恋
個人的に一番好きなストーリーラインがこれです!
だって晶馬も苹果もかわいいから!!
桃果と入れ違うように生まれた苹果は意味もわからぬまま桃果の運命日記を受け取ります。
両親の不和を桃果がいないせいだと勘違いした苹果は桃果になるために
多葺へのストーカーを行います。
しかし多葺やゆりと付き合っていく中でほんとうの自分を取り戻し、
さらに晶馬への想いから真に桃果を受け継ぐ者へと覚醒するというお話し。
一番テロの呪縛を受けていないラインがここなので、
もっと晶馬と苹果には活躍して欲しかったんですけどねー。
最終話で切り札を決める二人には惚れたぜ!
でも最後まで晶馬くんが「荻野目さん」としか呼ばないのはちょっとさみしい…。
きっと苹果ちゃんは将来良い女になるよ!
晶馬くんは童貞のまま死んでしまったんや…。
4.冠葉が陽鞠を救う話
ピングドラムが愛の物語たる一番のコアがこのストーリーラインです!
このラインに一番感情移入して見ていた人も多かったんじゃないでしょうか。
1話で前面に出してきたのもこれですし。
1話で陽鞠が水族館で倒れ、本来は死ぬはずがペンギン帽子の力で蘇り
さらに13話でもう一度倒れてサネトシ先生の力で生き永らえます。
陽鞠を生かすために冠葉はペンギン帽子と契約し、
ピングドラムを探すために苹果を嗅ぎまわり、
さらにはサネトシ先生による治療費を払うためにテロリストに加担してお金を手に入れます。
この冠葉の八面六臂の活躍が全部桃果やサネトシに踊らされたものだったていうのが少し悲しいところ。
陽鞠も終始もうしわけなさそうに生きているのが見てて辛いですね。
「私は高倉家でずっと罰を受けていたんだ」
この陽鞠のセリフはいまだに私の中で飲み込めないでいます。
私としては冠葉が死んだ理由はピングドラムうんぬんというより、
企鵝の会のテロ行為に加担したことによってこどもブロイラーのように「透明な存在」にされてしまったんではないかと考えています。
精神と肉体を酷使して悪事を働く者には死を、というのが物語の当然の帰結ではないでしょうか。
ここらへんはぜひみんなの意見を聞きたいです。
あと、1話で二人は絶対セックスしてるね。間違いない。
5.真砂子がマリオと冠葉を助ける話
そして最後が真砂子の話。
真砂子さん、孤独な戦いでしたね。
そしてこちらもサネトシと桃果に最後まで踊らされてしまうのは血筋と言うべきか。
と、いうわけで5つのストーリーラインが入り組んで走っているのを理解いただけたでしょうか。
よく考えるとこんなに複雑な話しをこんなに少ないキャラでやっていたんですね。
自分はこれを元にもう1回見たり考察したりしようと思います。
では!
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